エネルギッシュに演奏するジャズもいいが、
同時に心和むバラードも演奏できなければ一流とは言えないと思っている
一流だと思ってたらいつの間にかろくでもないミュージシャンになっていたなんて言うのは良くある話である。
マイルスデイビスがトランペットにマイクを仕込んでワウワウで演奏なんか始めた時には幻滅を通りこして呆れたものだった。
得てして彼らは自分がおかしな方向に進んでいることにまったく気が付かない。
マイルスは気が付かないまま脳卒中で昇天したが、
記憶に間違いなければその死はアメリカでも日本でもほとんど顧みられることがなかった。
惜しいミュージシャンだというには後半生があまりにタガが緩んでいた。
マイルスに限らずジャズミュージシャンは方向性を誤る。
誤っているかどうか判別するもっとも正しい方法は、そのミュージシャンがバラードを演奏しているかどうかだと思う。
バラードは平衡感覚を持ったジャズマンの証左である
イットネバーエンタードマイマインドを演奏していた時のマイルスは平衡感覚をまだ持っていたのである